日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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SELEX 法による塩生植物シチメンソウの核酸結合タンパク質の解析
*山田 晃世宮 舞子小関 良宏
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p. 0587

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抄録
シチメンソウ (Suaeda japonica) は、アカザ科マツナ属の塩生植物である。有明海沿岸域に生育し、強力な耐塩性を有している。本研究では、「大腸菌を用いた機能スクリーニング法」により、シチメンソウから耐塩性強化因子を探索を進めた。その結果、ホウレンソウの葉緑体型 RNA 結合タンパク質とアミノ酸レベルで 80% の相同性をもつ、284 アミノ酸残基からなるタンパク質をコードする cDNA (以下 SjRBP) を単離した。SjRBP を導入した形質転換大腸菌には顕著な耐塩性の向上が認められた。また、35S CaMV プロモーターを用いて、SjRBP 過剰発現シロイヌナズナを作出し、その塩ストレス耐性を検討した。その結果、形質転換シロイヌナズナにおいても大腸菌における効果と同様に顕著な耐塩性の向上が認められた。また、SjRBP GFP 融合タンパク質を用いてSjRBPの細胞内局在性を観察したところ、SjRBP は葉緑体に移行していることが確認された。さらに本研究では、SELEX 法を用いて SjRBP が標的とする配列を検討した。これらの結果は、シチメンソウの耐塩性機構の解明や、耐塩性作物の作出のための重要な知見になると期待できる。
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© 2011 日本植物生理学会
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