日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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大気からの蒸散要求量がイネのアクアポリン発現に及ぼす影響
*村井(羽田野) 麻理桑形 恒男桜井(石川) 淳子森山 真久林 秀洋アハメード アリファ
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p. 0594

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抄録
アクアポリンは水チャネルとしての機能をもつタンパク質であり、生物界に普遍的に存在する。イネのアクアポリン33種の内、根では約15種類が発現しており、中でもOsPIP2;3, PIP2;4, PIP2;5, TIP2;1の4種は根に高い発現特異性を示す。根でのこれらのアクアポリンの発現量は、夜間に低く日中上昇する日周変動を示すが、日中でも地上部を加湿処理すると発現上昇は著しく抑えられることが分かった。このことは、葉からの蒸散要求が根でのアクアポリン発現を誘導する強い促進因子である可能性を示唆している。今回は、蒸散要求量の指標として気象学などの分野で用いられるポテンシャル蒸発量が、アクアポリンの発現量と密接な関係にあることを報告する。野外の気象条件がアクアポリンの発現に及ぼす影響を調査するために、グロースチャンバーで2週間生育させたイネ幼苗を、夕方5時に屋外に出し、翌朝8時に根を採取してアクアポリンの発現量(mRNA)を定量した。その結果、上記のアクアポリンの発現量は雨天日に低く晴天日に高い特徴を示した。ポテンシャル蒸発量は、下向きの短波、長波放射量、飽差、気温、風速の関数で表され、時別気象データから計算できる。サンプリング当日朝のポテンシャル蒸発量(4時間平均)は上記アクアポリンと高い相関を示すことが明らかになった。
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© 2011 日本植物生理学会
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