日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのELONGATA3はAS2と共に葉の形態形成に関わる
*小島 晶子今井 智哉岩崎 まゆみ松村 葉子上野 宜久町田 泰則町田 千代子
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p. 0628

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抄録
シロイヌナズナのasymmetric leaves2 (as2)変異体は、左右非対称な葉の切れ込みや葉脈形成不全など、葉の形態に関して多面的な表現型を示し、複数の制御系路に関与すると考えられる。AS2遺伝子はcisteine repeatsとleucine zipper様配列を含む植物固有のAS2/ LOBドメインをもつタンパク質をコードし、茎頂メリステム特異的なclass 1 KNOXホメオボックス遺伝子群と葉の裏側化因子ETTINYABBY5KANADI2を抑制することで、葉の向軸側細胞分化を促進する。現在我々のグループではas2-1の亢進変異体の解析を進めている。ELONGATA3 (ELO3) はヒストンアセチル化ドメインをもつタンパク質をコードし、as2-1の葉の向背軸性異常を亢進する変異east1の原因遺伝子として同定された。elo1, elo2, elo3, elo4は葉の細くなる変異体として報告され、酵母のElongator複合体サブユニットとその調節因子が原因遺伝子である。最近植物でも複合体が単離された (Nelissen et al., 2005、2010)。elo2またはelo4とas2-1との遺伝解析から、葉の向背軸性の確立にも複合体として関与すると考えられた。現在ELO3がどのような遺伝子の発現に影響を与えるかを検討中である。
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© 2011 日本植物生理学会
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