日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケの不等分裂幹細胞におけるCDKAの機能解析
*巻口 勇馬日渡 祐二長谷部 光泰藤田 知道
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p. 0641

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抄録
多細胞生物の形態形成には、1つの細胞が性質の異なる2つの細胞に分かれる不等分裂という現象が重要な役割を果たしている。植物でも不等分裂は器官や個体発生の仕組みを理解する上で重要である。不等分裂の諸過程では、細胞極性の形成、紡錘体や分裂面の位置決定、運命決定因子の非対称な分配などが、厳密に細胞周期の進行とともに制御されている。サイクリン依存性キナーゼCdc2はこのような不等分裂と細胞周期の進行を結びつけている重要なタンパク質である。ショウジョウバエにおいてCdc2の活性の低下は、細胞の有糸分裂を阻害することなく不等分裂する神経前駆体細胞に等分裂を引き起こすことが知られている。植物においてCdc2のホモログであるCDKAの機能欠損変異体は、胚性致死になることが報告されているが、不等分裂における役割は不明である。
そこで我々はヒメツリガネゴケ原糸体の頂端細胞は、露出した不等分裂幹細胞であることに着目し、この不等分裂過程におけるCDKAの役割を解明するために、CDKAの機能欠損体を作成した。ヒメツリガネゴケゲノム中には2コピーのCDKAが見出され、相同組換えを利用して、これらCDKAの二重遺伝子破壊株を作成した。その結果、細胞分裂は停止せず継続する一方で、頂端細胞の屈曲や枝分かれ、偏光屈性の異常が観察できた。さらに、熱ストレス下で細胞伸長と分裂の異常が観察できた。
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© 2011 日本植物生理学会
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