日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体atpB-atpE mRNA の翻訳
鈴木 晴香黒田 洋詩湯川 泰*杉浦 昌弘
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p. 0650

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抄録
葉緑体ゲノムのatpAとatpEの遺伝子は葉緑体ATP合成酵素複合体のβとεのサブユニットをコードしている。多くの顕花植物では、上流のatpBの終止コドンと次のatpEの開始コドンが一塩基重複している。これらの遺伝子は通常は共転写され一本のジシストロニックmRNAとして合成される。そこで、下流のatpEシストロンの翻訳は上流のatpBシストロンの翻訳に依存していると昔から考えられていた(翻訳共役)。われわれは、2種の異なる蛍光タンパク質を用いて、atpBシストロンとatpEシストロンの翻訳を区別して測定する手法を確立した。まず、我々が単離タバコ葉緑体から開発した高活性な無細胞翻訳系を使って、ジシストロニックmRNAから両シストロンともよく翻訳されることを示した。この場合、上流のシストロンのほうが下流のシストロンより強く翻訳された。次に、atpBの上流の5'-UTRを、活性の低い5'-UTRに変えると、atpBシストロンの翻訳はそれに相応して低下したが、atpEシストロンの翻訳は変化が見られなかった。この結果は下流のatpEシストロンの翻訳は上流のatpBシストロンの翻訳に依存してないことを強く示唆している(もし、依存していれば、atpEシストロンの翻訳も低下するはずである)。
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© 2011 日本植物生理学会
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