抄録
最近、マルチ遺伝子型Na+/H+アンチポーター(Mrp)がラン藻に存在することが明らかになった。このアンチポーターの活性と生理的役割を明らかにするために、耐塩性ラン藻Aphanothece halophyticaからMrp遺伝子を単離した。Aphanothece halophytica のMrp遺伝子(Ap-mrp)はmrpCD1D2EFGAB (Ap-mrp)とクラスターを形成しており、その上流にNapA タイプ Na+/H+アンチポーター(Ap-napA1-2) および重炭酸イオントランスポーター (Ap-bicA) 遺伝子が配置していた。Ap-mrp遺伝子クラスターをアンチポーター欠損変異株である大腸菌TO114で発現させた。 Ap-mrpを発現させたTO114株は、Na+およびLi+に対する耐性が向上した。Ap-mrpを発現させたTO114株の反転膜を用いてAp-mrpのアンチポーター活性について解析を行った。また、淡水性ラン藻Synechococcus elongatus PCC 7942のmrpA欠損株を作出した。これらの結果について報告する。