抄録
アルカリフォスファターゼ (APase) は、リン含有化合物からリン酸を遊離する為、生物がリン酸を栄養源として利用する際に重要な役割を担っていると考えられている。しかしながら、現在までにシアノバクテリアの APase についての報告は少ない。最近の海洋性バクテリアに関するメタゲノム解析の結果、アルカリフォスファターゼ D(PhoD)が、古典的な PhoA および PhoX よりも多く存在することが示された。今回、我々は耐塩性シアノバクテリア Aphanothece halophytica より PhoD 遺伝子を単離した。大腸菌を用いて PhoD 蛋白質を発現・精製し、PhoD の生化学的性質を検討したところ、PhoD は Ca2+ 依存性の APase であることが明らかになった。また、phoD 遺伝子は、リン欠乏環境下のみならず、塩ストレス環境下においても誘導された。さらに、phoD 遺伝子を導入した淡水性シアノバクテリアを用いて解析した結果、PhoD がシアノバクテリアの細胞外に分泌されることが明らかになった。これらの結果について報告する。