日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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光依存型プロトクロロフィリド還元酵素を大量発現させたラン藻Leptolyngbya boryanaにおける異常な構造体形成
山本 治樹小島 寛子大城 香*藤田 祐一
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p. 0685

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抄録
クロロフィル生合成系のプロトクロロフィリド(Pchlide)還元反応には、進化的起源が異なる2種類の酵素、暗所作動型酵素(DPOR)と光依存型酵素(LPOR)が存在する。被子植物は、Pchlide還元をLPORのみで行っているため、暗所ではPchlideが蓄積し、エチオプラストにおいてLPORとの基質複合体を主要成分とする特殊な構造プロラメラ体(PLB)を形成する。PLBという特徴的な構造の形成が、LPOR固有の性質によるのか、被子植物への進化の過程で新たに付与された性質なのか不明である。本研究では、ラン藻Leptolyngbya boryanaのDPOR欠損株でラン藻のLPORを大量発現させる系を構築しLPORの存在状態に関する一連の解析を行った。L. boryana のLPORを大量発現するchlL欠損株を暗所で生育させ、電子顕微鏡で観察したところ、チラコイド膜とは明らかに異なる異常な構造体が認められた。抗LPOR血清を用いた免疫蛍光顕微鏡観察によりこの異常構造体がLPORを含むことが示唆された。明所シフト後の緑化速度比較、粗抽出液による活性測定の結果、ラン藻LPORはPchlide蓄積に依存して異常構造体を形成する性質を有するが、活性がNADPH添加に依存する点でPLBに光活性型として蓄積する被子植物のLPORと大きく異なることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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