日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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登熟籾のアクアポリンについて
*林 秀洋村井(羽田野) 麻理桜井(石川) 淳子アハメード アリファ
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p. 0900

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抄録
イネの籾は開花後約40日で完熟するが、その間デンプンや貯蔵タンパク質が蓄積し、水分含有率にも大きな変動が見られる。これらのプロセスに関わるアクアポリンを調査するため、イネアクアポリン全33種の内、30種を対象にmRNAの発現量をリアルタイムPCR法を用いてステージ別に調べた。その結果、登熟開始時には多くの分子種が発現していたが、登熟中期になると発現しているアクアポリンの全mRNA量の大部分はOsPIP2;1OsTIP3;1であることが分かった。Western blotting の結果、この2種のアクアポリンのタンパク質量は登熟中期以降に急激に増加することが分かった。また、免疫組織染色の結果、OsPIP2;1は籾の組織全体に存在しているが、OsTIP3;1は糊粉層に局在していた。以上の結果より、OsPIP2;1とOsTIP3;1は登熟中期に見られる水分含有率の急激な減少と高い相関があることが分かった。また、OsTIP3;1は籾以外の器官では発現がほとんど認められないことからも、糊粉層に特有な機能に関連している可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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