日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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アスコルビン酸ペルオキシダーゼを過剰発現する葉緑体形質転換タバコの解析
*森田 重人加藤 真人林 清音生澤 彰大鈴木 健吾山本 裕範増村 威宏佐藤 茂寺地 徹
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p. 0941

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抄録
過酸化水素消去酵素であるアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)は、葉緑体における活性酸素消去に重要な役割を果たしている。一方で葉緑体型APXは極めて不安定であり、強いストレス条件下では失活することから、光酸化障害の初期段階での標的分子であると考えられている。本研究では、葉緑体型APXのストレス耐性における役割を調べるために、タバコにおいてストロマ型APX(sAPX)を過剰発現させ、その効果・影響を検討した。
タバコ由来のsAPX cDNAをpsbAプロモーターの制御下で発現する葉緑体形質転換タバコを作出したところ、野生型に比べ27-32倍の全APX活性の上昇が見られた。また形質転換体(APX7系統、APX11-1系統)は、葉に淡緑色のまだら模様が現れる表現型を示した。それらの系統は野生型と比較して、非ストレス条件においてクロロフィル含量、F v/F mが低下していた。また低温ストレス処理(15℃)を4週間行った結果,APX7系統の葉に顕著な退色と,Fv/FmとΦ?の低下、全APX活性とsAPXタンパク質レベルの低下が見られた。以上の結果から、sAPX形質転換体は恒常的に光阻害を受けていること、また低温処理により顕著な光酸化障害を受けていることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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