日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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木質バイオマスの効率的な生産方法について
*河岡 明義
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p. S0019

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抄録
森林は世界の陸地面積の30%を占め、森林面積は約40億haあり、その5%が植林地である。森林は化石燃料に代替する再生可能なバイオマス資源として期待され、炭酸ガスの固定に関してもその役割が注目されている。日本の製紙会社は製紙原料を安定確保するために、積極的に海外植林事業を進めてきた。特にユーカリ属樹木は成長が早く繊維成分が多いため、パルプ原料として植林されている。近年、バイオ燃料の原料としてもユーカリは注目され、ゲノムプロジェクトも進行している。当研究所も、植林地における効率的なバイオマス生産を目的に、乾燥害や塩害などの環境ストレスに強いユーカリの育種を進めている。オーストラリアの植林地から幾つかのユーカリ系統をクローン化して温室で育てた苗を材料に、乾燥害や塩害のストレス耐性を試験した。その結果、乾燥害に耐性の強い耐性の弱い系統と比較して、ストレス下での光合成活性などに差が見られた。現在、植林地において、ストレス耐性と成長度との相関を調査している。また、遺伝子組換え技術を利用したストレス耐性ユーカリの育種にも取組んでいる。土壌細菌Arthrobactor globiformis由来のコリンオキシダーゼ遺伝子を導入した遺伝子組換えユーカリを作成して、評価試験を行っている。
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© 2011 日本植物生理学会
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