日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物免疫とキチン認識
*渋谷 直人賀来 華江
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p. S0063

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抄録
植物は微生物に特徴的な分子群(Microbe-Associated Molecular Patterns: MAMPs)を認識し、さまざまな防御応答を開始する能力をもっている。このシステムの存在が植物に多くの潜在的病原菌に対する抵抗性を付与していると考えられている。一方で、さまざまな微生物がこうした植物の防御システムを阻害したり潜り抜けることによって、病原性を発揮したり共生関係を成立させていることも分かってきている。
キチンは真菌類の代表的なMAMPであり、多くの植物がキチン断片(キチンオリゴ糖)を認識し、防御応答を開始する能力をもっている。われわれは最近、イネとシロイヌナズナにおいて、キチンエリシターによる防御応答誘導で主要な役割を果たしている2種類のLysM型受容体分子(CEBiPおよび CERK1/OsCERK1)を同定し、これらを介したシグナル伝達機構の解析を進めている1-3)。今回のシンポジウムでは、植物のキチン認識・シグナル伝達研究の現状を紹介するとともに、こうした防御系を回避する側の戦略についても考えてみたい。
1)Kaku et al., PNAS, 103, 11086 (2006)
2)Miya et al., ibid, 104, 19613 (2007)
3)Shimizu et al., Plant J., 64, 204 (2010)
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© 2011 日本植物生理学会
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