抄録
【目的】就学前から学童期にいたる子どもの線描動作における発達の特徴(筆圧,正確さ,速度)を明らかにするとともに,描画の巧緻性に関する新しい定量的評価法を開発することを目的とした.【対象と方法】4歳から12歳までの定型発達を示す子ども119名と,20名の成人を対象とした.筆圧測定装置を内蔵した電子ペンで,2 本の平行線の真ん中を通る線を引くよう指示した.描画中の筆圧と達成時間を計測し,独自に開発したソフトウェアを用いて描かれた線が平行線の中心からどれくらい離れるかをスコア化した.【結果】筆圧および正確性は,7歳まで年齢とともに増加し,その後成人と同じレベルとなった.一方,達成時間は7歳までは年齢とともに増加し,その後,減少した.正確性の得点を,達成時間で除した値は,年齢とともに増加した.【結語】線描動作では最初に正確性が向上し,その後,速度が速くなった.今回使用した測定方法は臨床応用での有用性が示唆された.