抄録
本研究はDyscalculiaのスクリーニングに関して,数概念を中心とした新しい検査法を考案し,その検査法のDyscalculia の予測性について検討することを目的とした.小学校通常学級在籍1年生68名に対して,基数性と序数性を調べる項目と基本的な加数的事実(簡単な数的事実[簡単な加減算])より構成した検査(数的基礎力検査と命名)を12月に実施した.1年生の学年末とさらに1年後の2年生学年末に実施された算数学力テストの結果と数的基礎力検査の結果とを照合し,数的基礎力検査の算数の学力に対する予測性をROC解析で検討した.結果,ROC曲線では小学1年生と小学2年生における下位20%のAUC(Area under the curve)がともに0.8以上となり,小学1年生時の数的基礎力検査が算数の学力が低い一群を高い確率で識別することが示された.算数の学力が低い一群の中にDyscalculiaが含まれていると考えられるため,数的基礎力検査はDyscalculia のスクリーニングに応用できる可能性が示唆された.