2021 年 61 巻 1 号 p. 43-51
知的障害・発達障害を有する患者の移行は各自の多様性やニーズの違いがあり困難を極める.当センターでは福祉相談科と連携し移行に関する流れを考案し,移行期医療における現状と取り組み,移行先の医師に移行に関するアンケートを実施したので報告する.2017年10月から2018年9月まで20歳以上で療育外来の診療を継続している症例は療育外来全受診者の5.5%であった.ASD,CP,ダウン症,てんかんが多かった.2018年1月から2019年4月までに精神科・心療内科への移行は44例であった.アンケートでは移行の困難さの理由について当事者の受診意欲,小児科と精神科の違い,治療関係の確立の難しさがあげられた.医療者側に障害に関する知識や対応のスキルが求められ,小児科と精神科・心療内科医師間の連携の強化とともに,社会が当事者の抱える問題点についてより理解を深める必要があり,教育や福祉など多分野との連携を強化し,シームレスな支援が大切である.