抄録
東日本大震災は子どものメンタルヘルスにさまざまな影響を与えた.本研究は,岩手県沿岸被災地の居住者のうち,本学いわてこどもケアセンター(以下,当センター)への受診に至った児の特徴を検討した.対象は,震災関連で当センターを受診した児と保護者28組(受診群),発災時に保育園の3 ~ 5歳児クラスに在籍していた52組(非受診群)で,調査項目は,喪失体験や家庭背景,子どもの行動チェックリスト(以下,CBCL),保護者の出来事インパクト尺度とK6などであった.2群間の比較検討では,受診群は非受診群に比し,喪失体験の割合が有意に高く,CBCL総得点の臨床域割合が高かった.受診の有無と調査項目の関連においては,受療行動と「家族・親戚が亡くなった体験」,「CBCL総得点の臨床域割合」に中程度の正の相関を認めた.喪失体験を有する子どもは,中長期的な見守りが必要であり,適切な時期に医療機関受診をサポートする必要がある.