抄録
症例は8歳男児.診断はADHD.集団行動が苦手,ルールが守れないという主訴で来院.われわれが考案した生活環境採点法で評価を行ったところ,本児の①学校自己採点70点,②家自己採点50点,③自分自己採点70点であった.母親の④学校自己採点予想80点,⑤家自己採点予想30点,⑥自分自己採点予想60点,⑦母子育て点数40点,⑧父子育て協力点数90点であった.マイナスの理由は,①友だち入れてくれない.遊びを勝手に決められる.②パパにけられる.③(親の)いうこと聞かない.暴力振るっちゃう.すぐあきらめちゃう.であり,子ども家庭支援センターに通告.Guanfacine内服開始.両親が協力し,生活環境が改善.①学校自己採点95点,②家自己採点70点となった.母子における生活環境採点法は,母子の環境に対する気持ちを探り,マイナス理由を知ることができ,その対応を支援者・当事者がともに考えるためのツールとして有効であった.