2024 年 63 巻 4 号 p. 345-359
本論文では,2010年以降に発表された和文の自閉スペクトラム症の介入実践研究を概観した.キーワード検索で該当した和文文献4,171編を抽出条件(1.査読付き実践研究,2.2010 年~ 2021年発表,3.対象は本人,保護者,支援者,4.個別・グループ含む)に従い選択し,最終的に148編の論文を対象とした.その結果,(1)対象者は「本人」が最多で75.0%,次いで「本人と養育者」(12.2%),(2)対象年代は学童期(35.1%),乳幼児期(25.7%)が多数を占める,(3)最も活用されている介入法は行動的アプローチであり,一定の介入効果をあげている一方で,結果が一様でないケースもみられることなどが明らかとなった.今後の課題としては(1)青年期・成人期への介入研究の増加,(2)統制群や待機群を設定した研究実施,(3)多面的な評価や中長期的フォローの必要性があげられた.