抄録
わが国では外来診療の場においてトラウマフォーカスト認知行動療法(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy: TF-CBT)の実践例が増えているが,入院でのTFCBT実施例の報告は極めて少ない.そこで,心的外傷後ストレス障害と神経発達症の合併例に対し,児童精神科病棟の入院によるTF-CBTを実施し有効であった症例を報告する.症例は12歳男児で幼少期にトラウマ体験があり,問題行動が頻発するため入院となった.TF-CBTを実施しトラウマ症状は改善し問題行動も軽減した.入院治療にてTF-CBTを実施する利点は安全・安心を確保できること,トラウマ症状の即時フィードバックができること,学んだ対処スキルを確実に習得できること,病棟スタッフとの連携による生活支援ができることがあげられ,難点は親のペアレンティングスキルの実践の機会が不十分となることが考えられた.