小児の精神と神経
Online ISSN : 2434-1339
Print ISSN : 0559-9040
資料
幼稚園の年中児と年長児における感覚特性についての調査研究
伊東 祐恵近藤 万里子小林 千鶴佐々木 沙和子星山 麻木
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 65 巻 2 号 p. 121-127

詳細
抄録

本研究は幼稚園の年中児と年長児を比較し,日本語版感覚プロファイル(以下,SP)の4象限(低登録・感覚探求・感覚過敏・感覚回避)における学年による感覚特性の違いについて検討した.対象はA幼稚園とB幼稚園の2022年度の年中児90名と2019年度の年長児143名とし,調査方法は,保護者が記入したSPから非常に高い値を示した児の割合と4象限における感覚処理能力の「非常に高い」・「高い」・「平均的」を年中児と年長児で比較した.その結果,4象限に非常に高い値を示した児は,低登録は年中児11.1%/年長児7.7%,感覚探求は年中児10.0%/年長児4.9%,感覚過敏は年中児14.4%/年長児2.1%,感覚回避は年中児5.6%/年長児5.6%であった.これらの結果から感覚処理能力においては,低登録の「平均的」は年長児に有意に多く,感覚過敏の「非常に高い」は年中児に有意に多かった.本研究結果から年中児・年長児とも感覚の問題をもつ児は一定数存在し,感覚過敏は低年齢で発現しやすい可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本小児精神神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top