2019 年 35 巻 2 号 p. 84-89
インドシアニングリーン蛍光法は,肝芽腫および肝細胞癌の原発巣・転移巣の術中検出に有用である.転移巣ではコントラストが良いため非常に小さな病巣を描出できる.原発巣では肝切除断端の残肝に遺残する腫瘍の有無を確認できる.注意点として,比較的疑陽性が多いことは銘記すべきである.ICG蛍光法が肝芽腫および肝細胞癌の予後を直接改善するかどうかは不明であるが,術中に遺残腫瘍の有無の検索のため迅速病理診断を待つ必要がなく,手術時間の短縮につながることは確かである.さらに切除断端を逐次確認できるため,症例によっては区域切除や葉切除をしなくとも部分切除で安全に病巣を摘出できることがあり,有用である.