2022 年 38 巻 1 号 p. 11-20
小児肝移植後のIVRには,診断目的の肝生検(経皮経肝,経内頸静脈),血管合併症治療,胆管合併症治療,液体貯留治療(経皮的ドレナージ)がある.放射線診療部が特に深く関わっているのは,血管合併症と胆管合併症に対するIVRである.IVRが適応となった場合は,全例麻酔科医による全身管理下に,移植外科医と放射線科医が協同で手技に臨む.ほとんどの場合,透視を併用した超音波ガイド下経皮経肝穿刺にて手技を開始する.移植肝の解剖学的特性から,バイプレーンの血管造影装置の使用が望ましい(特に側面透視が極めて有用).移植肝に対する経皮経肝穿刺からシース挿入までは経験豊富な移植外科医により行われる.続くIVR手技は放射線科医が中心となって行う.
本稿では,血管合併症と胆管合併症のIVRについて自験例を中心に典型例と非典型例,さらには難渋例に対する工夫など,症例を提示しながら解説する.