我々は,18 MHzのリニアプローブ(Noblus,富士フィルム,旧・日立製作所)を用いたリンパ管エコーの有用性を報告してきた.リンパ浮腫患肢ではリンパ管が変性(拡張,硬化,閉塞)する.エコー検査でリンパ管変性を評価することで,リンパ管静脈吻合術などの手術成績が向上している.
リンパ管を同定する際には,D-CUPSの指標を用いて静脈との鑑別を行う.つまり,Dopplerで色がつかない,Cross(近傍の静脈を素通り),Uncollapsible(プローブの圧迫でつぶれにくい),Parallel(複数本のリンパ管が並走),Superficial fasciaの直下にある,というのがリンパ管の特徴である.
リンパ管エコーはリンパ管機能の診断にも有用である.低侵襲な検査で,コメディカルスタッフも施行可能である.従来リンパ管機能検査としてリンパシンチグラフィ,リンパ管造影などがあるが,いずれも実施できる医療機関は少ない.リンパ管エコーが普及すれば,様々な疾患で,より適切な診断,治療につながる可能性がある.