日本小児放射線学会雑誌
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特集 第59回日本小児放射線学会学術集会“多角的に挑む小児画像”より
難治性リンパ管疾患の病態と新規治療薬
小関 道夫
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2024 年 40 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

リンパ管腫(リンパ管奇形),リンパ管腫症,ゴーハム病,リンパ管拡張症は主に小児期に異常なリンパ管組織が浸潤するリンパ管疾患である.嚢胞性リンパ管腫は先天的に大小のリンパ嚢胞による腫瘤性病変で,起こる場所によって様々な症状を呈する.全身に拡張したリンパ管組織が浸潤するリンパ管腫症は,乳び胸水,心嚢水,骨溶解など病変の浸潤部位によって様々な症状を呈する.ゴーハム病も全身の骨が進行性に溶解する疾患で,リンパ管拡張症はリンパ管の先天的形態異常によって,浮腫やリンパ液が漏出する疾患である.これらは非常に似た症状を呈するが,病態が異なり,それぞれ画像所見も異なる.

最近では,PIK3CA/RAS遺伝子変異が病変部位から検出されており,mTOR阻害剤であるシロリムスがこれらの疾患の病状を高い確率で抑えることが国内外で報告され,2021年に本邦で薬事承認された.リンパ管疾患の病態,疾患の鑑別,および新規治療法について,小児科医,放射線科医に向けて概要を解説する.

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