写真測量とリモートセンシング
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原著論文
ALOSフルポラリメトリックPALSARデータを用いた浅間山の林相区分
加藤 正人飯坂 譲二
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2009 年 48 巻 3 号 p. 188-194

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抄録

2006年に打ち上げられた日本の地球観測衛星ALOS にPALSAR(Phased Array L-band Synthetic Aperture Radar)が搭載された。世界初の定常運用可能な衛星搭載としてのフルポラリメトリックSAR であり,土地利用や森林のモニタリング,バイオマスの推定に期待されている。本研究ではこのPALSARデータを用いて,地形がなだらかで,日本を代表するカラマツとアカマツ林,亜高山帯針葉樹林が広がる浅間山の森林について,散乱行列から,教師無しと教師付き林相分類を行った。
 その結果,教師無し分類では森林域を,農地,住宅地,道路から区別できた。またGIS データと現地調査から林相区分と森林蓄積区分を教師付き分類で行い,11.0%~56.5%の分類精度であった。高蓄積林分の精度は,301-450m3/ha が56.5%,451-800m3/ha が49.6%であった。分類精度の低い原因は斜面方位や尾根などの地形の影響が大きかったことである。ポラリメトリックPALSAR データの応用範囲は複雑な山岳地形ではない広範囲の一様な森林において,伐採地や林相区分,土地利用変化のモニタリングに有効である。

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© 2009 社団法人 日本写真測量学会
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