抄録
大規模な災害発生直後には,応急対策を戦略的に決定するために,災害の種類と範囲が地形図や写真図などと共に表示された総覧的な情報図が必要となる。しかし,被災範囲が非常に広い範囲にわたる場合,このような図を迅速に作成するのは困難である。また,そもそも情報収集すべき範囲をどのように設定するかが課題となる。東日本大震災の災害調査活動にあたって,まず詳細な画像情報や現地情報が網羅的に得られないことを前提とし,優先して津波の数値シミュレーションを行って,浸水範囲の概略を迅速に把握することを試みた。さらに併行して各種の衛星画像データを取得し,それぞれの特性を生かした解析を実施し,広域における浸水分布から特定地域の被害の詳細に至るまで,被災状況の把握に努めた。さらに今後の復興支援に貢献するような,地域環境の変化に関するデータの収集を行った。