抄録
近年, 航空機MSS熱赤外 (10.5-12.5μm) データから抽出される熱情報は, 都市熱環境調査に有効に利用されつつある。
本研究は, 航空機MSS熱赤外データと土地利用現況データとの相関分析により広島市域における都市熱環境の実態を明らかにすることを試みたものである。
1980年9月15日, 広島市都心部を中心に東西の飛行コースで撮影されたMSS熱赤外データから表面放射温度分布図を作成した。さらに, MSS熱赤外データにメッシュ分割を施し, 各メッシュ (750m×750m) での平均表面放射温度を算出した。
一方, 土地利用分類項目を説明変数とした重回帰分析を利用して, 当該メッシュにおける平均表面放射温度の推定を試みた。この結果, 重回帰モデルにおける標準偏回帰係数は有意であることが認められ, またMSS熱赤外データから推定された平均表面放射温度との間にも高い相関性があることが明らかになった。