抄録
ランドサット/TM, スポット/HRV等の高分解能衛星データの新しい解析利用の可能性を検証することを目的として, 従来の画素単位のスペクトル情報の代わりに, スペクトル情報と空間情報とを併用した物徴量として, 局所的濃度平均 ( (LDA) および局所的濃度変動 (LDV) を使用して, 市街地の形態に関する分類を行った場合の分解能と分類精度の関係を実験的に検討した.実験は, 航空機MSSデータによるシミュレーション画像と実際のランドサットおよびスポットの衛星データを用いて行った。航空機MSSデータによるシミュレーション実験結果からは, 分解能が30mよりも高ければ, 画素単位のスペクトルを用いるよりも, LDAあるいはLDAとLDVを併用する方がより高い分類精度が得られることが実証され, とくに, LDAとLDVを併用した場合には, 分解能が20mおよび30mにおいて最大の分類精度が得られることが示された。衛星データによる実験結果からは, ランドサット/TM及びMSSデータの場合には, 航空機MSSデータによる結果がほぼ当てはまることが確認された。一方, スポット/HRVデータの場合には, 航空機MSSデータの結果よりもかなり低い精度しか得られなかったが, これは斜め観測によるスペクトル変動が原因しているものと考えられる。本実験結果より, TM, HRV等高分解能衛星データの新しい解析利用の可能性が実証されたものと考えられる.