写真測量とリモートセンシング
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運輸多目的衛星新1号 (ひまわり6号) による初の地球観測画像
宮本 仁美
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2005 年 44 巻 3 号 p. 2-3

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抄録

平成17年2月26日, 「ひまわり5号」の後継機である運輸多目的衛星新1号 (MTSAT-1R) は, 鹿児島県種子島宇宙センターからH-IIAロケット7号機により打ち上げられました。3月8日には予定していた静止軌道に投入され, 「ひまわり6号」と名付けられました。
その後, 衛星の各種機能の試験, 画像取得の準備等を経て, 3月24日には初めて取得した地球観測画像が公開されました。現在は, 6月中を目途とする運用開始に向け, 最終的な試験が続けられています。
「ひまわり6号」は, その名の示すとおり「ひまわり5号」の後継機としての気象ミッション機能と, 航空管制のための航空ミッション機能を兼ね備えた多目的衛星です。「ひまわり6号」の気象ミッションは, 「ひまわり5号」に比べ, 我が国を含む北半球の観測を従来の1時間毎から30分毎の観測に強化するとともに, 画像の解像度の向上や赤外センサーの拡充により, 豪雨や台風等の監視が強化されます。
気象衛星は, 広い地域の雲や海氷等の分布を一様に観測することが出来るため, 世界気象機関 (WMO) は, 世界気象監視 (WWW) 計画の重要な柱の一つとして, 複数個の静止気象衛星と極軌道気象衛星からなる世界気象衛星観測網を提唱しています。気象庁は, その一翼を担う静止気象衛星観測を, 1977 (昭和52年) 以来継続して行ってきました。「ひまわり6号」は, その強化された機能により, 我が国及びアジア・西太平洋域内各国における天気予報はもとより, 台風・集中豪雨等の監視・予測にさらに活躍することが期待されます。

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© 社団法人 日本写真測量学会
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