日本惑星科学会秋季講演会予稿集
日本惑星科学会2003年秋季講演会予稿集
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最優秀発表賞選考セッション  10/8(水)12:55~15:30(オーラル)、15:45~17:00(ポスター)
火星におけるCO2リザバの挙動と進化 -地下への輸送プロセス-
*中村 貴純田近 英一
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p. 18

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抄録

火星表層環境の進化を議論するにあたって,CO2とH2Oの挙動と進化を理解することは非常に重要な問題である.演者はいままで,火星表層におけるCO2のふるまいを調べるために,数値モデルを用いた大気‐極冠_-_レゴリスシステムの解析を行ってきた.その結果,かつての温暖な気候環境から現在のような寒冷な気候状態に遷移するときには,急激かつ大規模な気候変動(気候ジャンプ)を経なければならないことを導いた.この気候ジャンプは,大気の暴走凝結(極冠の暴走成長)によって生じる.気候ジャンプによって形成される極冠は大きく,相当量のCO2を保持している.一方で,現在の火星におけるCO2極冠は小さく,保持するCO2量もかなり少ないと推定されている.そこで,気候ジャンプ直後の極冠中のCO2を他の場所に輸送・隔離するプロセスを考える必要がある.本研究では,極冠中のCO2を地下に輸送するメカニズムを新たに考え,H2Oと共に地下に貯蔵されている可能性を検討した.これらの解析に基づき,地表‐地下系におけるCO2,H2Oの挙動,および,火星の気候進化を議論する.

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© 2003 日本惑星科学会
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