日本惑星科学会秋季講演会予稿集
日本惑星科学会2003年秋季講演会予稿集
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オーラルセッション7 10/10(金)13:15~14:45
ダストアグリゲイトの衝突合体速度に対するサイズ依存性
*湊 哲則城野 信一山本 哲生
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p. 59

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抄録
惑星形成過程において、微惑星は惑星とその原材料であるダストを繋ぐ重要な天体である。微惑星が形成されるためには、ダスト微粒子やその集合体(ダストアグリゲイト)が原始惑星系円盤内で衝突により成長していく必要があると考えられている。ダスト微粒子やダストアグリゲイトが衝突付着できる臨界速度は、微惑星形成過程を理解する上で鍵となる物理量である。 近年の実験(Blum 2000 etc)および理論研究(Dominik & Tielens 1997)により、次にことが明らかにされた。1) 1μm程度の大きさのシリケイト微粒子は、表面引力のため数m/s以下の衝突速度なら付着する。2) 微粒子の衝突で形成されるアグリゲイトはPorousな構造をとる。3) 100個程度の微粒子で 構成されたアグリゲイトは、微粒子単体の場合より大きな付着可能速度(3倍程度)を持つ。では、アグリゲイトが成長し大きくなり、構成微粒子数が多くなると、付着可能速度および合体エネルギーはどうなるのだろうか?本研究は、2次元数値シミュレーションによって、Porousなダストアグリゲイトの衝突付着に対する構成粒子数依存性を調べた。計算コードはDEM(Discrete element method)をベースに作成した。この方法はすべての微粒子の運動方程式を粒子間接触力を基に解く。微粒子間接触力は、個々の微粒子を表面引力を持つ弾性球と扱いその接触理論(Dominik & Tielens 1997)を用いてモデル化した。シリケイトおよび氷微粒子で構成されたアグリゲイト(10~10000個の微粒子で構成)の衝突をシミュレーションした結果、以下が得られた。a) アグリゲイトのサイズが大きい(構成微粒子数が多い)ほど衝突合体可能な臨界速度は大きくなる。b) 付着可能な衝突前の運動エネルギーの最大値は、アグリゲイトを構成する粒子数の1.5乗および2つの微粒子間を切断するのに必要なエネルギーに比例する。c) a)のb)理由は、衝突圧縮波が通過した領域では、アグリゲイトの構造が破壊され、微粒子が衝突や滑りなどの運動を繰り返しながらエネルギーを散逸し、十分のエネルギーが散逸されると微粒間が結合するためである。講演では、上記の結果の詳細な報告とともに、微惑星形成過程の議論を行う。
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© 2003 日本惑星科学会
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