抄録
深海底熱水噴出孔環境では高温・高圧という苛酷な条件でありながら特殊な地下生命圏が形成され,盛んな生命活動が行われていることが発見以降の様々な研究により知られるようになった。太平洋伊豆小笠原弧水曜海山の海底カルデラ熱水帯は最高310℃の熱水を噴出する広範囲なチムニー群が存在する。本研究では水曜海山深海熱水系のチムニーおよび噴出熱水についてアミノ酸および有機物をバイオマーカーとして、極限環境下での微生物活動の評価を行った。<BR>2002年度新竜丸航海で得られた噴出熱水試料および2001年度新世丸航海ダイブ12で得られたチムニー試料について、HPLCにより試料中のアミノ酸の同定・定量および光学異性比の測定を行った。また,キューリーポイント型熱分解GC-MSシステム(Japan Analytical Industry / Shimadzu GCMS-QP2010) を用いて、熱分解により同じチムニー試料およびその加水分解残渣から放出される有機物の解析を行った。