抄録
人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty:以下TKA)において,術中の膝屈曲可動域が退院時の目標屈曲可動域を決定する一つの指標になり得るかを検討した。対象は変形性膝関節症によりTKAを施行した症例33例35関節(平均年齢72±8.2歳)とし,PCL温存群とPCL切除群に分類した。両群の術中麻酔下および退院時の膝屈曲可動域を測定し,その相関について調べた。術中麻酔下と退院時の膝屈曲可動域の間には,PCL切除群にのみ有意な相関が認められ,PCL温存群において相関は認められなかった。今回の結果からPCL切除群においては,術中の膝屈曲可動域は退院時の目標可動域を考える上で,一つの指標となり得ることが示唆された。一方,PCL温存群では,PCLの影響を考慮した後療法について検討していく必要性があると思われた。