抄録
リハビリテーションセンターにおける理学療法の流れを,脳血管障害患者の症例を通して報告する。症例は在宅生活での留守番を目標に入院し,それに対しトランスファー・トイレ動作の自立が不可欠であった。機能回復に変化が見られたため,初期には機能訓練を中心に生活動作をつなげていった。徐々に機能回復と高次脳機能を含め,実生活での生活を想定した生活訓練に変えていった。その間には,装具,車椅子,家族指導,家屋改造,棟内訓練に関与し,環境・動作面にてできるだけ具体的な生活像を想定するようにしている。症例の主目標に向け全人的にアプローチをすることは当たり前のことであるが,難しいことである。その時期にどう関わるか,常に考える必要性を感じる。