埼玉理学療法
Online ISSN : 1348-0294
Print ISSN : 0919-9241
ISSN-L : 1348-0294
研究と報告
抜管後に高炭酸ガス血症を呈した症例に対しての呼吸理学療法の経験
染谷 光一立山 よ志子谷口 誓子富張 勝則長谷 晶子後藤 慎一
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 7 巻 1 号 p. 28-33

詳細
抄録
今回、抜管後に高炭酸ガス血症を呈した症例に対し呼吸理学療法を経験した。対象は、年齢:平均72.6±1.6歳。男性4名、女性1名。年齢・性別・診断名(基礎疾患含む)・検査項目等を入院カルテから後方視的に調査した。抜管後の動脈血液ガスは、抜管前のPaCO2 52.54±10.4 mmHgに対し、抜管直後は66.38±11.7 mmHgと高炭酸ガス血症へと傾き、症例によっては最大96.5 mmHgと上昇を認めた。しかしその後減少傾向を認めRPT終了時では56.02±6.2 mmHgとなった。今回の症例における抜管後にPaCO2が上昇した理由は、低肺機能、基礎疾患、合併症の影響による換気能力の低下、そしてこれら問題点における運動制限が推察された。そのため病態の安定を確認後、全身運動を伴う運動療法を施行していくことで高炭酸ガス血症の是正をはかった。運動療法により炭酸ガスが減少した理由として1)全身運動による換気の促進、2)体位変換位における換気血流比の改善、3)中枢性肺胞低換気の改善、4)呼吸筋・四肢筋群の廃用性の改善等が考えられた。
著者関連情報
© 2000 社団法人 埼玉県理学療法士会
前の記事 次の記事
feedback
Top