埼玉理学療法
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研究と報告
閉眼片足立ち訓練におけるハンドリングの効果
中村 信義解良 武士大村 陽子田口 直枝平山 厚子三和 真人
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2000 年 7 巻 1 号 p. 34-40

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抄録
本研究は、起き上がり、立ち上がり、歩行といった動作訓練場面において理学療法士が用いている操作的介助、すなわちハンドリングが、平衡機能訓練におよぼす影響を重心動揺から検討したものである。健常者10名を対象に、閉眼片足立ちを課題とし、支持脚の対側上肢よりハンドリングを施して訓練を行った“ハンドリング群”と、ハンドリング無しで訓練を行った“コントロール群”で、短期訓練、長期訓練後の2つの訓練効果を群内で比較した。その結果両群とも短期訓練後、長期訓練後ともに重心動揺は減少し訓練効果が見られた。重心動揺周波数分析の結果、両群とも重心動揺波形の徐波化がみとめられ、左右方向、2~5 Hzの周波数帯域のパワーの減少が特徴的にみられた。長期訓練後、コントロール群では左右方向、0.5~1 Hzの帯域で、ハンドリング群では同様に0.2~0.5 Hzの帯域でパワーが有意に増大した。この違いは、主体となる姿勢調節戦略の違いを反映するものであろうと考えられた。ハンドリングによる上肢からの体性感覚入力は主に頭部、体幹の立ち直りを利用した「迷路性姿勢制御」の向上を促通し得るものと考えられた。
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© 2000 社団法人 埼玉県理学療法士会
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