抄録
15~78歳の健常者89名を対象に、30 cmの長さの水平線を二等分し、かつ水平線に垂直に (1)マグネットスティックを貼り付けるスティックテストと、(2)実際に鉛筆で直線を描く垂線描画テストを実施し、等分定位及び垂直定位について10歳ごとに区切った年代別標準値を調べ、更に二つのテストの相違について検討した。分析には全例10回ずつ行なった各テストでの890データを使用した。結果は、二等分位からの偏位(左への偏位を-、右への偏位を+)がスティックテストで平均-0.4±0.44 cm、垂線描画テストで平均-0.3±0.61 cmであった。左内角の垂直位からの偏位(90度より鋭角に偏位を-、鈍角に偏位を+)は、スティックテストで平均-0.1±0.33度、垂線描画テストで平均-0.1±1.20度であった。各テストでの二等分位からの偏位及び垂直位からの偏位は各々正規分布を示し、偏位の平均値は非常に小さな値を示した。健常者では年代による影響を受けず、等分定位、垂直定位が可能であった。