主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合
共催: 第5回 日本産業理学療法研究会学術大会, 第7回 日本栄養・嚥下理学療法研究会学術大会, 第57回 日本理学療法学術大会
会議名: 第9回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 赤羽会館(東京都)
開催日: 2022/11/19 - 2022/11/20
p. 31
【はじめに、目的】
運動器検診において片脚立位やしゃがみ込みができないことは将来的な障害のリスクが高いと報告されているが、その可否の要因は様々である。また、中学生年代において足部アーチ機能の低下が散見されることが報告されている。そこで本研究は、中学生を対象とし、足部アーチ機能の観点から片脚立位およびしゃがみ込み可否の要因を検討することを目的とした。
【方法】
中学生108名を対象とし、年齢・身長・体重・部活動およびクラブ活動での運動習慣を聴取した。片脚立位・しゃがみ込みの可否、非荷重位・荷重位足部内側縦アーチ高率、Navicular Drop(以下、ND)、Leg Heel Angle(以下、LHA)、modified Star Excursion Balance Test(以下、mSEBT)、Functional Reach Test(以下、FRT)、下腿傾斜角度、足趾把持力を測定した。片脚立位は10秒間の開眼および閉眼での片脚立位において、遊脚を床につかず、かつ支持脚をスタート位置から移動させずに遂行できた場合を可能と判定した。しゃがみ込みは閉脚し、両手を前方に伸ばし踵を床につけた状態で大腿後面と下腿後面が接触するまでしゃがみ込みをするよう指示し、踵が浮かず転倒なく遂行できた場合を可能と判定した。統計処理には統計ソフトウェアSPSS(version25)を使用し、多重ロジスティック回帰分析において片脚立位およびしゃがみ込みの可否を従属変数、その他測定項目を独立変数として関連を検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
開眼片脚立位ができない生徒は左右足1名ずつ(0.9%)であった。閉眼片脚立位ができない生徒は右足29名(26.9%)、左足24名(22.2%)であった。しゃがみ込みができない生徒は16名(14.8%)であった。片脚立位およびしゃがみ込みの可否と足部内側縦アーチ、ND との間に関連はみられなかった。多重ロジスティック解析の結果、片脚立位の可否にはLHAやmSEBT、FRT、運動習慣の有無が、しゃがみ込みの可否には下腿傾斜角度とmSEBT、運動習慣の有無が抽出された。
【結論】
片脚立位およびしゃがみ込みの可否について、足部アーチ機能との関わりはみられなかった。mSEBTやFRTは下肢筋力や体幹筋力との相関が報告されていることや、クラブ活動の有無や運動部の有無が抽出されていることから、中学生における片脚立位の可否には筋力が関与している可能性が考えられた。また、しゃがみ込みの可否には下腿傾斜角度だけでなくmSEBTも抽出され、下肢柔軟性のみならず下肢筋力が関与している可能性が考えられた。今後は足部アーチ機能以外の機能調査を行うと共に、今回運動器検診項目において所見がみられた対象者の追跡のため縦断的に調査を行う必要がある。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は高崎健康福祉大学の研究倫理委員会により承認を受け実施した(承認番号:第2117号)。対象者には測定の目的、方法、内容等を口頭および書面にて説明し、本人と保護者および学校長・指導者の同意を得て実施した。