日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YOS-03-1
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予防OS3
口腔機能向上の効果~栄養との連携~
森下 志穂小原 由紀
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抄録

【はじめに、目的】

高齢期における口腔機能の低下は、摂食嚥下機能の低下を招き低栄養のリスクを高めると考えられている。本研究は通所介護サービスを利用する高齢者における栄養状態に関連する口腔機能の要因を探索し、効果的な口腔機能向上について検討することを目的とした。

【方法】

令和3年10月~12月、東京都および福岡県内の6通所介護事業所を利用する高齢者308名 (男性63名、女性245名,平均年齢 85.8±7.2歳)を対象とした。調査項目は、基本属性、栄養状態 (MNAⓇ-SF)咬合状態、口腔機能 (舌圧、咬合力、改訂水飲みテスト、オーラルディアドコキネシス (ODK タ音)とした。統計解析はカイ二乗検定、一元配置分散分析、二項ロジスティック回帰分析を行った。

【結果】

低栄養群 (34名、平均年齢85.6±8.4歳、男性11.8%)では、栄養状態良好群 (131名、平均年齢85.3±7.2歳、男性29.0%)、低栄養のおそれあり群 (143名、平均年齢86.4±6.9歳、男性 14.7%)と比較して、舌圧値が低く、機能歯数 (義歯も含めた歯数)が少なかった (p<0.05)。また、栄養状態の関連因子 (オッズ比、95%信頼区間)として舌圧が低い (0.98、0.95-0.99)ことがあげられた。

【考察】

低栄養リスクの関連する口腔機能要因として、舌圧の低下が挙げられた。以上から、通所介護サービス利用者の口腔機能低下および低栄養のリスクへの早期発見・早期対応が、きわめて重要となることが示唆された。

【結論】

口腔機能向上に関わる健康教育は単体での実施ではなく、栄養との複合的プログラムの実施が必要であり、栄養と口腔の連携協働によるアプローチの推進が必要であることが示された。

【倫理的配慮】

東京都健康長寿医療センター倫理審査委員会承認 (整理番号:R21-015)

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