日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YP-06-4
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予防ポスター6(実践活)
15年間における朝のラジオ体操会参加者と体力測定会を協働した経験
鹿内 誠也植田 拓也土屋 彰吾水野 翔太畠山 浩太郎柴 喜崇
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抄録

【はじめに、目的】

神奈川県内R公園での地域在住高齢者主体のラジオ体操会に参加し、2009年より年に1回の身体機能評価を中心とした体力測定会を開催し、15年間関わっている。2020年度まで近隣の大学の学部学生の卒業論文の一環として、年1回100名程度、延べ1264名(2020年度は82名)の規模の体力測定会の機会を参加者に提供していたが、継続が難しくなった。体力測定会の継続の要否について確認したところ、参加者自身で体力測定会を継続したいとの声が聞かれ、2021年度より、参加者と協働した体力測定会を開催している。本体力測定会の概要と結果、今後の展開の可能性について述べる。

【方法】

体力測定会の運営スタッフは立候補された参加者 (2021年度 11名、2022年度12名)で、運営スタッフには事前に理学療法士による会場設営や測定方法の伝達講習を実施した。測定項目は 握力、5回立ち上がりテスト、5m歩行時間、Timed Up and Go Test、開眼片脚立位時間の計5項目とし、2人1組で測定係と記 録係を参加者が担った。理学療法士は体力測定会参加者の誘導、測定の補助、記録係等の支援と、測定に必要な備品、測定用紙等の準備、参加者へのフィードバックを担った。

【結果】

体力測定会には、2021年度に44名、2022年度に42名が参加した。住民主体による体力測定会において事故や住民同士のトラブルはなく、参加者から苦情はみられなかった。また、運営スタッフからは測定の担い手を通じて、「主体性」「他者との交流」「社会的役割」等に関する肯定的な意見がみられた。一方で、運営スタッフのみで全ての運営を担うには負担が大きい等の課題が挙がった。

【考察】

2020年度との比較した参加者数の減少は、Covid‐19の影響を鑑みても、測定者が理学療法士から住民に変更されたことが影響したと考えられる。しかし、15年間体力測定会の機会を提供されていた参加者に継続の要否を委ねることで、参加者の主体性が引き出され、参加者と協働した体力測定会の開催につながったと考える。 通いの場等でリハビリテーション専門職が体力測定する機会は増加しているが、関わるリハビリテーション専門職の人員数や介入時間等の課題がある。住民と協働した体力測定会への展開は、リハビリテーション専門職人員不足の解決策でもあり、住民への新たな役割の付与につながるのではないか。

【倫理的配慮】

本研究は共同研究者の所属する機関の研究倫理委員会の承認を得て実施したものである。また本研究の対象者には書面および口頭にて研究目的、個人情報の保護等について十分に説明を行い、書面にて同意を得た。

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