日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YOS-06-5
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予防OS6
COVID-19流行後の地域在住高齢者の社会活動と環境要因の関連性-岡山県倉敷市と東京都町田市における調査結果-
井上 優倉地 洋輔加藤 剛平平上 尚吾井上 栄子
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抄録

【はじめに、目的】

COVID-19の流行により、これまで可能で あった社会参加や身体機能維持のための活動機会が制限され、身体的・心理的な機能低下が深刻な問題として顕在化している。一方、そのような状況下でも社会活動を行い、身体機能を維持できている者もいる。これまで地域在住高齢者における実情を把握する調査はいくつかなされているものの、COVID-19流行後の社会活動に関連する環境要因について、地域による違いを加味した検討は十分なされていない。そこで本研究では、国内 2地点の地域在住高齢者を対象に、社会活動と環境要因の関連を明らかにすることを目的とした。

【方法】

本研究では地域在住高齢者を対象に無記名式アンケー ト調査を実施した。対象者は、岡山県倉敷市社会福祉協議会または東京都町田市地域包括支援センターを通じて回答に同意を得た通いの場参加者とした。質問紙は基本情報、心理的要因、環境要因から構成した。COVID-19流行後の心理的変化につい て、主観的体力低下・COVID-19感染への不安を尋ね、環境要因として家族構成やLubben Social Network Scale-6への回答を求めた。社会活動の程度は、社会関連性指標を用いて調査した。社会活動と環境要因の関連性は、社会関連性指標スコアを従属変数、基本情報、心理・環境要因を独立変数として、地域別に重回帰分析 (ステップワイズ法)を実施した。

【結果】

アンケート調査の結果、岡山県倉敷市52名 (77.9± 7.0歳、女性42名)、東京都町田市93名 (76.9±5.3歳、女性74名)から回答を得た。主観的体力低下を感じた者は倉敷38.5%・町田35.5%、COVID-19への感染の不安を抱える者は50.0%・ 58.1%であった。世帯構成として単身世帯は19.2%・18.3%、二人世帯は48.1%・49.5%、3人以上の世帯は32.7%・32.3%と類似した構成であった。年齢や性別を調整した重回帰分析を実施した結果、両地域に共通して、「困ったときに助けてくれる友人の数」が社会関連性指標スコアと有意に関連した。

【考察・結論】

生活する地域によって高齢者を取り巻く様々な環境が異なることが考えられる。しかし地域が異なっても、支援を得られる友人の数は、COVID-19流行後の社会活動に関連する要因であることが示唆された。

【倫理的配慮】

本研究の目的と、無記名式アンケートで個人情報を含まず、不参加となっても不利益を被らないことを書面を用いて説明し、同意を得たうえで実施した。

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