主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第58回 日本理学療法学術大会
共催: 第6回 日本産業理学療法研究会学術大会
会議名: 第10回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 函館市民会館・函館アリーナ(函館市)
開催日: 2023/10/28 - 2023/10/29
PICS (post-intensive care syndrome、集中治療後症候群)とは集中治療・集中治療室(ICU)に関連して生じる身体・精神・認知機能の障害である。では、PICS発症リスクが高い患者とは『どんな患者?』であろうか。 Falk1)らによる29研究のシステマティックレビューでは、急性 期医療における高齢フレイル患者は、死亡、入院期間、再入院、機能低下、転院先、QOL、さらなるフレイル等と関連することを示した。Marraら2)による観察研究では、多変量ロジスティ ック回帰分析により教育およびフレイルとPICSとの関連が報告された。そして、Leeら3)による33研究のメタ解析では、高齢、女性、疾患の重症度、せん妄、過去の精神機能障害、ICU未経験がPICSのリスク因子であると報告された。 専門家31名による「PICSの予測と評価」に関する会議が Society of Critical Care Medicine (SCCM)カンファレンス(2019年)で開催されており、PCIS発症リスクが高い患者群としてICU入室前のフレイル、既存の機能障害を評価することが推奨されている4)。 PICS予防における早期リハビリテーションの介入効果を示す研究では、PICS発症リスクが高いとされるフレイルや低いADLの患者は除外され、結果として併存疾患も少ない患者が大半である。一方で、これらの患者群には、早期リハビリテーションへの更なる期待が寄せられていることに疑いの余地はない。研究対象とされず高いエビデンスが示されてこなかった領域であるが、我々の臨床診療でしばしば遭遇するフレイル、低ADL、既存疾患のある患者への『PICS予防のコツ』について、皆で考えてみたい。 参考文献 1)Clin Interv Aging. 2023 ;18;18:249-261. PMID: 36843633 2)Crit Care Med. 2018 ;46(9):1393-1401. PMID: 29787415 3)Aust Crit Care. 2020 ;33(3):287-294. PMID: 31839375 4)Crit Care Med. 2020 ;48(11):1670-1679. PMID: 32947467
【倫理的配慮】
事例紹介を行う際は、東京ベイ・浦安市川医療センター、倫理審査委員会の規定に従い、対象患者の不利益になるような氏名、住所等の個人情報は記載しない。また、対象患者または代諾者に対して、教育や医療発展を目的とした学術集会学会における事例紹介への協力、個人情報の取り扱いに関する説明と同意を得る。