主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第59回 日本理学療法学術大会
会議名: 第11回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【はじめに、目的】
体外衝撃波(ESWT)は集束型衝撃波(FSW)、拡散型圧力波(RPW)に分けられ、RPWは安全性が高く、除痛効果、組織修復効果が期待され、近年整形外科分野において広く用いられるようになった。そのほかに筋弛緩作用や拘縮に対する効果も示されているが、一定の見解は得られていない。そこで当院RPWを導入した肩関節拘縮患者を対象に拘縮改善の程度と改善群の特徴を調査した。
【方法】
2022年3月~2024年4月に肩関節疾患を有し、当院でリハビリテーションおよびRPW5回以上実施した20例を対象とした。肩関節拘縮の基準は先行文献をもとに肩関節可動域屈曲120°以 下、下垂位外旋30°以下、結滞動作第3腰椎レベル以下のいずれか1つでも条件を満たした場合とした。年齢、性別、病名、 OPEの有無、外固定期間、リハビリテーション介入までの期間、 RPW導入までの期間、RPW実施前と5回実施後のNumerical Rating Scale(NRS)、日本整形外科学会肩関節評価表(JOAスコア)等を調査した。統計解析はRPW5回実施後に肩関節拘縮基準を 3つ全て改善していた症例を改善群、基準2つ以下の改善例を非改善群の2群に分類した。RPW実施前と5回実施後の拘縮改善の比較および2群間比較は対応のないt検定、Mann-Whitney検定、χ2検定を用いた。統計解析はSPSS25.0を用い、統計学的有意差水準5%未満とした。
【結果】
RPW実施前と5回実施後の拘縮改善の比較では改善群は0例か ら8例、非改善群は20例から12例への有意な変化を認めた。2群間比較では年齢(P<0.05)、実施後NRS(P<0.05)、実施前JOA スコア(P<0.05)、実施後JOAスコア(P<0.05)に有意差を認めた。
【考察】
RPW5回実施後に改善群が0例から8例へ増え、非改善群が20 例から12例へ減ったことは先行研究と同様の結果を示し、関節拘縮に対し有用な可能性がある。改善群において年齢が高値を示したのは、加齢に伴い疼痛閾値が上昇し、疼痛を感知しづらく可動域向上へ繋がった可能性がある。また、RPW実施前、5回実施後のJOAスコア高値は、RPW治療前のJOAスコアが拘縮改善に影響する可能性がある。さらに、RPW5回実施後NRSの低値は、疼痛軽減に伴い上肢活動性向上が関節可動域拡大に関与した可能性がある。RPWと理学療法の継続は肩関節拘縮改善に有用であり、拘縮改善群の特徴が明らかとなった。
【倫理的配慮】
本研究は研究代表者の所属する機関の研究倫理委員会の承認(承認番号:6040001)を得て実施し、個人を特定するような情報を開示しないようナンバリングを行うことで、対象者を匿名化し、プライバシーの保護に努めた。