主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第59回 日本理学療法学術大会
会議名: 第11回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【目的】
当院では、看護、介護職員に対し腰痛軽減・予防を目的に理学療法士による運動機能テストを実施している。一昨年の事業では参加者の多くがスウェイバック姿勢であったことから、各運動機能テストとの関連性と姿勢認識について調査し対策の一助とする。
【方法】
対象は、当院に勤務する看護・介護職員で、今回の取り組みに参加を希望した25名 (男性6名 女性19名)。理学療法士6名が個別に運動機能テストを実施した。
姿勢認識の評価は、Kendallの分類を参考に、正常・後弯前弯・フラットバック・後弯・スウェイバックの5つについて参加者にイラストを用いて説明した後、自分がどの姿勢に該当すると思うかを聴取した。
姿勢評価は、壁またはストレッチポールを後頭隆起又は骨盤に垂直に当て、腰椎および頭部、大転子の位置関係から姿勢を評価し、上記5つの分類で判定した。
スウェイバック姿勢を陽性群、非陽性群に分け、①痛みの発生要因についての問診、②自動運動(前屈、後屈、側屈、回旋)の制限と疼痛有無、③股関節屈曲、SLR、足関節背屈、肋骨角の参考可動域到達の可否、④Thomas test、⑤active SLR test、⑤ Luomajokiらによるmotor control testの実施可否を調査した。結果について、Fisherの正確確率検定を用いて比較検討した(p<0.05)。
【結果】
姿勢認識では、後弯11名 (41%)、後弯前弯7名 (26%)が多くス ウェイバックは3名 (11%)であった。一方、実際の姿勢評価で はスウェイバック10名 (40%)、後弯前弯9名 (36%)が多かった。スウェイバック陽性群と非陽性群では、motor control test の四つ這いから尾側への移動において全員が実施不可であった ( p<0.05)。また、どの場面で腰痛を感じるかの問いに対しては、「たまに」と回答した割合が4名 (40%)と非陽性群0名に対して優位に多い結果となった (p<0.05)。
【考察】
スウェイバック姿勢は、日常生活の習慣と関連が深く、靭帯や関節包などの非収縮組織に依存した姿勢と言われている。実際にスウェイバックと認識している参加者は少なく、motor control testの結果からも、自身の静的・動的アライメントの認識にズレが生じている可能性が示唆された。看護、介護業務による繰り返しの負荷によって知らずのうちに痛みを生じている可能性もあり、姿勢認識を高め、腹横筋や多裂筋といった収縮組織を働かせることで、理想的な静的・動的アライメントを獲得していく必要がある。
【倫理的配慮】
本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、及び、個人情報の保護について、文書と口頭で説明を行い、書面にて同意を得た。 本研究は、倫理委員会の承認を得て、被検者が特定されないよう配慮した。