日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 23
会議情報

口述 4
看護、介護職の腰痛を対象とした運動機能テストの有用性について
~腰椎、仙腸関節の疼痛誘発テストに着目して~
*武下 真拡横田 俊輔成兼兼 結高野 涼太鈴木 浩斗羅津 涼太
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抄録

【はじめに、目的】

当院では、病棟職員に対し腰痛軽減・予防を目的に理学療法士による運動機能テストを実施している。近年、腰痛をサブグループに分類し、それに適した特異的な介入を行う考え方が提唱されており、腰痛が腰椎由来か仙腸関節由来かの鑑別に疼痛誘発テストがしばしば用いられる。そこで、運動機能テストに疼痛誘発テストを加え、痛みの発生要因や各身体機能テストとの関連性からその有用性について検討した。

【方法】

対象は、当院に勤務する看護・介護職員で、今回の取り組みに参加を希望した25名(男性6名 女性19名)。理学療法士6名が 20分程度で個別に運動機能テストを実施した。

疼痛誘発テストとして腰椎部の椎間関節ストレステスト (以下、 Spring test)でいずれかの分節に痛みがあったもの、仙腸関節ストレステスト4項目 (仙腸関節引き離しテスト、仙骨スラスト テスト、圧迫テスト、大腿後方スラストテスト)のうち2項目 に痛みがあったものをそれぞれ陽性群、なかったものを陰性群に分類した。各テストの陽性、陰性群において、①痛みの発生要因についての問診、②自動運動(前屈、後屈、側屈、回旋)の制限と疼痛有無、③股関節屈曲、SLR、足関節背屈、肋骨角の参考可動域到達の可否、④Thomas test、⑤active SLR test、⑤ Luomajokiらによるmotor control testの実施可否を調査した。結果について、Fisherの正確確率検定を用いて比較検討した(p<0.05)。

【結果】

Spring testの陽性群は11名 (44%)、仙腸関節ストレステストの陽性群は4名 (16%)であった。

腰椎spring testの陽性群は、自動運動における後屈痛 (81.8%)、側屈痛 (63.6%)を伴う方が優位に多い結果となった (p<0.05)。仙腸関節ストレステストは、どの項目とも有意差はみられなかった。

【考察】

腰痛に関する評価は数多く報告されているが、多くの職員を対 象とした運動機能テストを実施するにあたっては解釈に戸惑うことがあり、検査種目の選定に難渋することも少なくない。今回の結果ではSpring test陽性群の当該分節の痛みが過小運動性 によるものか、過剰運動性によるものかは明らかに出来ていないが、後屈・側屈時による自動運動の痛みと関連がある事から、 joint playなどの他動運動テストを合わせて行う事で、ある程度サブグループ化した上で個別介入できる可能性が示唆された。今後は、心理社会的因子の評価を組み合わせて行う事で腰痛対策の一助としていきたい。

【倫理的配慮】

本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、及び、個人情報の保護について、文書と口頭で説明を行い、書面にて同意を得た。

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