日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 31
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口述 5
多様な通いの場の類型別での参加者特性の検討
*植田 拓也根本 裕太小林 江里香田中 元基倉岡 正高谷出 敦子山中 信秦 俊貴森 裕樹藤原 佳典
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抄録

【はじめに,目的】

令和元年度に多様な通いの場の推進が示された。通いの場の範囲が拡大されたことに伴い,各通いの場の目的や内容等によって対象者が異なることが考えられるが,そうした参加者の特性は十分な検討がされていない。そこで本研究の目的は,主目的による通いの場のタイプごとの参加者の特性を探索的に検討することとした。

【方法】

本研究の対象は,東京都内の4自治体に在住し,無作為に抽出された65~84歳の住民24,268名とし,2021年, 2022年に実施した郵送調査の回答者の内,データ欠損のない 9,775名(平均年齢;73.9±5.4歳)とした。「月1回以上参加している」と回答があった通いの場を,主目的による通いの場の類型(タイプⅠ:生きがい・楽しみ,タイプⅡ:交流 (孤立予防),タイプⅢ:心身機能の維持向上)に基づき分類した。通いの場のタイプごとの参加の有無を従属変数として,年齢,性別,フレイルの有無,精神的健康状態,主観的健康感,就労状況,最終学歴,暮らし向き,居住期間,住居形態,主観的な役割期待感を投入し,多重ロジスティック回帰分析を実施した。

【結果】

通いの場へ参加している者の割合は,主目的類型別 ( タイプⅠ,タイプⅡ,タイプⅢ)で,それぞれ2,845名(31.6%), 186名(2.2%),722名(8.1%)であった。タイプⅠの参加には女性,高学歴,精神的健康状態が良好,フレイルなしが正の関連を示し,月20日以上の就労,住居形態 (分譲マンション,民間賃貸),居住期間11年未満,主観的健康感が不良が負の関連を示した。タイプⅡの参加には居住期間11年未満が負の関連を示した。タイプⅢの参加には女性,年齢が高い,精神的健康状態が良好が正の関連を示し,月20日以上の就労,住居形態 (分譲マンション,民間賃貸)が負の関連を示した(p<0.05)。

【考察・結論】

通いの場の主目的による類型で,参加者の特性 が異なることが明らかとなった。タイプⅠは,高学歴であることや心身の健康状態が良好な高齢者が参加しており,タイプⅡ,タイプⅢは,学歴やフレイルの有無に差はなく参加していることが示唆された。一方で,タイプⅡ,Ⅲの通いの場は少ないため,タイプⅡ,Ⅲの場の立ち上げや,タイプⅠを心身機能の低下者も参加できる形にバージョンアップするような支援方策を検討する必要がある。

【倫理的配慮】

当該自治体が地域活動と健康に関する調査の目的で収集したデータを二次利用した。よって,本研究で使用する情報は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の「既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合」に該当し,インフォームド・コンセントを受けることを要しない。データの二次利用については,各自治体および東京都の承認を得ている (4福保高在第269号)。また本研究の実施にあたっては,東京都健康長寿医療センター倫理審査委員会の承認を受けて実施した (承認番号:2健イ事第2688号)。

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