主催: (一社)日本予防理学療法学会、(一社)日本理学療法学会連合, 第59回 日本理学療法学術大会
会議名: 第11回 日本予防理学療法学会学術大会
回次: 1
開催地: 仙台大学(宮城県柴田郡柴田町)
開催日: 2024/11/09 - 2024/11/10
【はじめに、目的】
加速度計による客観的睡眠評価と質問紙による主観的睡眠評価を行い、地域在住高齢者の身体的プレフレイルとの関連を検証した。
【方法】
地域在住で60歳以上の高齢者34名を対象に、同地域で実施したヘルスチェックの結果を分析した。
身体的フレイルの評価はFriedらの提唱した体重減少、疲労感、活動量低下、歩行速度低下、握力低下、の5項目 (CHS基準)より、1つ以上の該当でプレフレイル群、該当無しでロバスト群とした。
客観的睡眠評価は腕時計型活動量計 (Fitbit AltaHR)を3~7晩着 用して睡眠を行い、睡眠時間が中央値を示す日の睡眠時間 (分)、睡眠効率 (%)、睡眠潜時 (寝つきの時間) (分)、中途覚醒 (分)、 徐波睡眠 (深い睡眠)割合 (%)を算出した。
主観的睡眠評価はピッツバーグ睡眠質問票より総合得点が5点以下を睡眠良好、6点以上を睡眠不良とした。
統計解析は、プレフレイル群とロバスト群において、連続変数である客観的睡眠評価はMann-WhitneyのU 検定を、カテゴリ変数である主観的睡眠評価はPearson のカイ2乗検定で比較した。副次的解析として身体的プレフレイルの下位5項目それぞれの該当、非該当においても同様の比較を行った。
【結果】
プレフレイル群は21名 (61.8%)であり、ロバスト群は13名 (38.2%)であった。客観的睡眠評価である睡眠時間は (プレフレイル群/ロバスト群で表記。数値は中央値 (四分位範囲))417.0 (380.0-455.5)分/431.0 (359.5-460.0)分、睡眠効率は88.0 (87.0-91.0)%/89.0 (85.5-90.5)%、睡眠潜時は10.0(7.5-17.5)分/8.0 (5.5-11.0)分、中途覚醒は43.0 (28.0-59.0)分/51.0 (37.0-62.0)分、徐波睡眠割合は10.0 (7.5-12.5)%/8.0(7.0-15.0)%であり、いずれにおいても2群間で有意な差は認められなかった。主観的睡眠評価の結果は、プレフレイル群で睡眠不良が13名 (61.9%)に対しロバスト群では睡眠不良が3名 (23.1%)であり、2群間には有意な差が認められた (p=0.031)。副次的解析の結果、身体的フレイル下位5項目の内、疲労感の該当者で主観的睡眠評価の睡眠不良の割合が有意に多かった。
【考察】
質問紙による主観的睡眠評価は疲労感を通して身体的プレフレイルと関連することが示唆された。一方、機器を用いた客観的睡眠評価をプレフレイル予防で活用するためには、測定結果の関連因子等についてさらなる検討が必要であると考える。
【倫理的配慮】
本研究はヘルシンキ宣言に則り、対象者には研究の目的・方法・内容を書面と口頭で十分に説明し、署名をもって同意を得た。また、本研究は大阪河﨑リハビリテーション大学研究倫理審査委員会の承認を得ている (承認番号: OKRU-RA0064)。