日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第11回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: O - 09
会議情報

口述 2
地域高齢者における運動習慣とフレイル予防の関連
―基本チェックリストを使用した実態調査-
*鬼木 貴也飛永 有美子川端 春輝
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】

近年では機械化・自動化の進展,移動手段の変化等によって,身体活動量が減少しやすい社会環境にあり,運動習慣者の割合が横ばいから減少傾向であることが問題とされている.今回,フレイルに陥らない高齢者は,どのような運動を行っているのか実態調査を行い,運動の頻度や時間,運動種目とロバストとの関連性について検証し,フレイル予防に対する運動指導の一助とすることを目的とした.

【方法】

対象は健康教室に参加されている65歳以上でデータに欠損値がない115名(年齢76.5±5.8歳)とした.フレイル状態は基本チェックリストを用いて評価を行い,3点以下をロバスト群(62名,75± 5.6歳)4点以上を非ロバスト群(53名,78.4±5.5歳)とした.在宅運動については独自で考案したアンケートを用いて,運動の有無, 1週間の運動回数,1回の運動時間,運動の種類を調査した.運動の有無については「身体活動以外で体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施しているもの」と判断できるもの以外は「運動なし」と判定した.運動の種類を「ストレッチ」「筋力トレーニング」「ウォーキング」「ジム」「スポーツ」「集団体操」に分類した.運動の有無,運動の種類をχ²検定,1週間の運動回数,1回の運動時間をMann-WhitneyのU検定にて比較した.また,ロバストに与える影響を検討する為に,従属変数をロバストの有無,独立変数を運動の有無,1週間の運動回数,1回の運動時間,運動の種類とし,ロジスティック回帰分析を行った.有意水準は5%とした.

【結果】

非ロバスト群と比較して,ロバスト群は運動の有無,1週間の運動回数,1回の運動時間,「ウォーキング」「スポーツ」「集団体操」が高値を示した.(p<0.05)ロジスティック回帰分析では関連因子として「ウォーキング」(Odds:6.09,95%CI:1.7-21.8)「スポーツ」(Odds:9.99,95%CI:1.90-52.5)「集団体操」(Odds: 6.04,95%CI:1.21-30.2)が抽出された.

【考察】

今回の結果より,地域高齢者におけるロバストに与える影響として,在宅運動の中でも一人で行う運動だけでなく,他者と共に運動が行える「ウォーキング」「スポーツ」「集団体操」が選択される結果となった.その理由として,他者との交流の機会を得やすいことによって,身体的フレイルのみでなく,認知的フレイル,社会的フレイル等の予防にも貢献すると考える.よって,フレイル予防の運動指導には,個別の運動のみでなく,社会的交流を伴う運動も促していく必要があると考える.

【倫理的配慮】

本研究は,新吉塚病院倫理委員会にて承認を受け,対象者に対して研究内容を口頭および書面にて十分説明し同意を得て実施した.

著者関連情報
© 2025 日本予防理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top