日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第42回日本臨床薬理学会学術総会
セッションID: 42_1-P-G-2
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一般演題(ポスター)
バイオシミラーの臨床試験・市販後調査に関する各極ガイドライン比較
*斎藤 嘉朗青木 良子佐井 君江石井 明子
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抄録

【目的】バイオシミラーに関して、日米欧に加え、アジア各国においても、その普及が期待されているが、規制環境情報や民族差に関する知見が少なく、積極的に国際共同治験を推進する環境整備が必要である。本研究は、バイオシミラーに関する各国/機関のガイドライン/ガイダンスにおける臨床試験及び市販後調査に関する記載を調査・比較し、その相違点を明らかにすることを目的とした。【方法】米国、欧州、中国、韓国、WHO、タイ、マレーシア、シンガポール、インド、及び日本のガイドライン/ガイダンスを入手し、記載内容の比較を行った。【結果・考察】概ね、各国/機関の臨床試験及び市販後調査に関するガイドラインの記載内容は同様であった。若干の相違点としては、臨床薬物動態(PK)試験及びPK/薬力学(PD)試験に関して、欧州、タイでは、PK試験、PK/PD試験結果に基づく臨床的有効性試験の免除の可能性に関する記載が、単回、反復投与試験での評価すべきPKパラメータ等について言及するなど、詳しいものであった。臨床的有効性及び安全性評価に関しては、マレーシアで「参照製品の用法・用量を取り入れるため、また異なる投与量を含む可能性のある他の適応症への外挿の可能性を与えるため、有効性試験では非劣性でなく同等性を評価すべき」と記載されていた。なおシンガポール以外では、一定の条件下での非劣性試験実施が容認されていた。臨床試験で対象とした疾患以外への効能・効果の付与(外挿)に関しては、WHOで「比較臨床試験において非劣性で有効性を示した場合、その結果が他の適応疾患でも同様であるという考察は必要」と記載されていた。市販後におけるリスク管理に関しては、WHO、マレーシア、シンガポール、欧州、タイにおいて、トレーサビリティ確保(販売名とロット番号の確認)に関する記述があった。レジストリの活用について言及されていたのは日本、欧州、タイであり、また医薬品安全性監視活動の結果公表に関しては、日本のみ記載がされていた。【結論】各国/機関の臨床試験及び市販後調査に関するバイオシミラーガイドラインの記載内容は、概ね同様であったが、臨床試験における非劣性デザインの扱いや市販後リスク管理における方法について、一部差異があることが明らかとなった。特に非劣性試験の採用に関しては、効能・効果別に考察して提言していくことが重要であると考えられた。

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