主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第42回日本臨床薬理学会学術総会
回次: 42
開催地: 仙台
開催日: 2021/12/09 - 2021/12/11
2020年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより社会的システムは大幅に変化している。医療現場及び医薬品開発産業はその中でも大きく影響が生じている。臨床薬理分野もパンデミックに対応するため治療や予防のために最大限の努力を払っている同時に、COVID-19関連の医薬品開発が続々進んでいる。パンデミックの初期には医療従事者の負担、医療資源の不足、感染対策等の理由にて新規の治験の中止や実施中の臨床試験の中断等の対応が取られていることであった。パンデミックの長期化により、新しい環境に合わせ様々な規制の緩和やパンデミック以前から検討していた新しいシステムの導入等にて柔軟に対応している。臨床試験は費用だけではなく、人、物、時間を含む医療資源が手厚く関与する研究であり、パンデミックのような環境にて既存のプロセスの円滑な進行ができない際にも高い質を維持するためにいち早く適切な対策と必要な行動指針を策定し、更に新たな情報等に基づき最適化をして、強化する必要がある。従来のシステムを緩和、改良した新システム導入は臨床試験における効率性や新薬開発プロセスの向上に寄与する可能性が高いことかわかっているが、そのためには、システム政策だけでなく、現場での正しい知識を身につけられるような教育や対応が重要と考える。今回のCOVID-19パンデミックでは、臨床試験を過渡期的の対応にて規制緩和が行われ初期対応としてその社会的使命を果たすことができた一方、今後の感染拡大を抑え込むために有効な治療薬、ワクチンの開発、製造、供給に向けて改善、解決すべき課題を再度確認する機会となった。その課題に対する対策として、将来の新型感染症パンデミックへの備えを含め、新たにグローバルな標準化し、政策動向について再整理していく必要がある。今後も新型感染症のパンデミックが生じる可能性があり、それに伴って新しい形態のシステムへの対応する必要性も増加すると考えられる。